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魔術的現代詩⑳『声の海図』 [魔術的現代詩]

通底する不全感――藪下明博


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あるいは、旅の詩集なのかもしれない。
旅をテーマにした断章の結合。
ただしこの旅は、詩人の記憶の中で構築された過去と、架空の出会いとによって認識された「場」の移動によって成立する。
朧げで危うい、まるで水上を浮遊するかのような、不安に駆られた旅であるはずだ。

    *

『声の海図』
君野隆久
(思潮社・二〇一九年三月三十一日・二五〇〇円+税)


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魔術的現代詩⑲『クリティカル=ライン』 [魔術的現代詩]

詩批評への批評の更なる批評――藪下明博

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今日、詩誌や詩集の読者数が減少する中で、果たして詩批評の読者数とはどれ程のパーセンテージで存在するのであろうか?
――と、冒頭から身も蓋もない疑問が頭をよぎるが、仮にそのような「統計」が存在したとしても、昨今の世情を鑑みた場合、信頼性は限りなく危険域に達していることだろう。(笑)

     *

『クリティカル=ライン』 詩論・批評・超=批評
添田馨
(思潮社・2018年12月25日・二八〇〇円+税)


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魔術的現代詩⑱『近現代アイヌ文学史論』〈近代編〉 [魔術的現代詩]

内なる越境文学の歴史とその軌跡――藪下明博

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近(現)代のアイヌ文学の歴史を、これ程までに系統立て、かつ主要文献(人物)を網羅した「文学史」は他に見当たらないであろう。

藤本英夫氏による知里幸惠や知里真志保、金田一京介らの先駆的伝記の貢献は言うまでもないが、アイヌ文学を国内に於ける越境文学と捉え、固有の文学史として見据える著者の視点は、今後のアイヌ文学研究の方向性を決定付けるエポックメーキングになると言っても過言ではない。

     *

『近現代アイヌ文学史論』〈近代編〉
須田茂
(寿郎社・2018年5月31日・二九〇〇円+税)

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魔術的現代詩⑰『端境の海』 [魔術的現代詩]

妣島のメモリアル――藪下明博

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麻生直子詩集『足形のレリーフ』(二〇〇六・梧桐書院)が刊行されてから、すでに十二年の歳月が流れている。

その間『憶えていてくださいー奥尻島・地震と津波の記憶』(二〇〇八・梧桐書院)、伊賀ふで詩集『アイヌ・母ハポのうた』(二〇一二・現代書館)等の編著が出ているが、久しぶりの新詩集に興奮して、逸る気持ちを抑えながら何度も何度も読み返した。

     *

『端境の海』
麻生直子
(思潮社・2018年6月30日・二六〇〇円+税)


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『画家の詩、詩人の絵』 [その他詩集]

不可知の領域を感じ取る――藪下明博

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画家にとっての詩とは何か?
詩人にとっての絵とは何か?

本書のテーマは、この両者において本質的かつ根源的な詩情=詩精神の有り様について、読者に(特に詩人に対して)一石を投じたものと言えよう。
画家の描いた絵と詩、詩人の書いた詩と絵を並列し、300頁以上にも及ぶ詩画集として纏めている。

実に美しい装幀である。

    *

『画家の詩、詩人の絵』
企画・監修/土方明司・江尻潔
監修/木本文平
(株式会社青幻舎・2015年10月10日・3,000円+税)

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魔術的現代詩⑯『アンドレ・ブルトンの詩的世界』 [魔術的現代詩]

痙攣的な「詩」世界の探求――藪下明博

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久しぶりにアンドレ・ブルトンに関する纏まった論考が上梓された。
詩人・朝吹亮二氏が三十年にわたり書き留めた、詩論・エッセー・研究ノート等を一冊にしたものである。
二部構成となっており、Ⅰ部には研究論文八本を、Ⅱ部にはエッセー六篇が収録されている。

     *

『アンドレ・ブルトンの詩的世界』
朝吹亮二
(慶應義塾大学法学研究会・2015年10月30日・四九〇〇円+税)


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魔術的現代詩⑮『樹下』 [魔術的現代詩]

樹への想い――孤高ゆえの誇り――藪下明博


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目薬の木というものがあるらしい。
カエデ科の落葉樹で、日本にだけ自生する雌雄異株の珍しい植物だとも。
その名の通り、樹皮や葉の煎じ汁で目を洗うと、眼病によく効くと伝えられている。
別名「千里眼の木」、「ミツバハナ」、「長者の木」などと呼ばれている……(この樹皮の粉は/目の病に効く)。


『樹下』
安藤元雄
(書肆山田・2015年9月5日・二四〇〇円+税)

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魔術的現代詩⑭『川・海・魚等に関する個人的な省察』 [魔術的現代詩]

釣竿を持つソクラテス――藪下明博

 
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タイトルを見て、小笠原鳥類氏の『素晴らしい海岸生物の観察』をふと思い起こした。
いや、ただ思い起こしただけで他意はない。
海・生物・観察といったキーワードが重なり、何となくそれが脳裏を掠めたのであろう。

     *

『川・海・魚等に関する個人的な省察』
八木幹夫
(砂子屋書房・2015年6月1日・2,000円+税)

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『ろまねすく』 [書評]

出口裕弘氏の訃報を聞いた。
86歳だったという。
ユイスマンスの『大伽藍』は、生涯忘れることが出来ない一書である。
小説家としての氏は、地味でありながら、深い味わいの作品を残した。
常に、詩人の魂を有していた。

ご冥福をお祈りする。


何もできないので、過去に書いた書評を再録する。



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『ろまねすく』
出口裕弘
(1990年3月10日・福武書店・1,400円)




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『澁澤龍彦の手紙』 [書評]

もう一つ。


澁澤龍彦の手紙.jpg


『澁澤龍彦の手紙』
出口裕弘
(朝日新聞社・1997年6月1日・2,000円+税)


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